「特定空き家」になると固定資産税が6倍になる?知っておきたい仕組みと対策

お役立ちコラム

こんにちは。
ふたば相続・空き家相談センターの相談員のしのです。

相続した実家を空き家のままにしていると、「特定空き家になると固定資産税が6倍になる」と聞いて、不安に感じる方もいらっしゃると思います。

ただし、正確には「特定空き家に指定された瞬間に固定資産税が必ず6倍になる」という意味ではありません。ポイントになるのは、自治体から空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく「勧告」を受けるかどうかです。

この記事では、空き家と固定資産税の関係、特定空き家・管理不全空き家の仕組み、税負担を増やさないために確認しておきたい点を、できるだけわかりやすく整理します。

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そもそも、なぜ住宅が建っている土地の固定資産税は軽減されるのか

まず前提として、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」という仕組みがあります。これは、住宅の敷地として使われている土地について、固定資産税の課税標準額を軽減する制度です。

課税標準額とは、税額を計算するときの基礎になる金額のことです。
住宅用地の特例では、土地の面積に応じて次のように扱われます。

小規模住宅用地
  住宅1戸あたり200㎡以下の部分は、固定資産税の課税標準額が6分の1
一般住宅用地
  住宅1戸あたり200㎡を超える部分は、固定資産税の課税標準額が3分の1

そのため、住宅が建っている土地は、更地に比べて固定資産税の負担が軽くなる場合があります。空き家であっても、住宅としての状態が保たれていると認められる場合には、この特例の対象になることがあります。

一方で、管理されずに危険な状態になっている空き家については、この特例の対象から外れることがあります。ここで関係してくるのが、「特定空き家」や「管理不全空き家」という考え方です。

「特定空き家」とは何か

「特定空き家」とは、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、次のような状態にあると認められる空き家のことです。

・そのまま放置すれば倒壊など、著しく保安上危険となるおそれがある
・そのまま放置すれば、著しく衛生上有害となるおそれがある
・適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている
・周辺の生活環境を守るために、放置することが不適切な状態にある

たとえば、建物が大きく傷んで倒壊のおそれがある、屋根や外壁の一部が落下しそうになっている、敷地内のごみや害虫などで周囲に影響が出ている、といったケースでは注意が必要です。

「古い家だからすぐに特定空き家になる」というわけではありません。
しかし、適切な管理がされず、周辺に危険や悪影響を及ぼす状態になっている場合は、自治体から指導や勧告を受ける可能性があります。

2023年12月の法改正で「管理不全空き家」も対象に

2023年12月13日に、改正された空家等対策の推進に関する特別措置法が施行されました。この改正により、新たに「管理不全空き家」という区分が設けられました。

管理不全空き家とは、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば特定空き家に該当するおそれがある空き家のことです。

つまり、すでに倒壊の危険が大きい状態だけでなく、「このまま放置すると特定空き家になりかねない」という段階の空き家についても、自治体が指導や勧告を行えるようになりました。

たとえば、庭木や雑草が伸びたままになっている、窓ガラスが割れたままになっている、屋根や外壁の傷みが進んでいるといった場合には、早めに状態を確認することが大切です。

「固定資産税が6倍になる」と言われる理由

「固定資産税が6倍になる」と言われるのは、小規模住宅用地の特例が関係しています。住宅1戸あたり200㎡以下の小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準額が6分の1に軽減されています。

ところが、特定空き家や管理不全空き家について、自治体から空家法に基づく「勧告」を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から外れることがあります。その結果、これまで6分の1になっていた課税標準額が本来の水準に戻るため、「最大で6倍」と説明されることがあります。

ただし、ここで注意したい点があります。

・6倍というのは、主に小規模住宅用地の固定資産税部分をわかりやすく説明した表現です。
・土地のうち200㎡を超える部分はもともと3分の1の軽減であり、都市計画税の軽減割合も固定資産税とは異なります。
・実際の納税額は土地の評価額や負担調整措置、自治体の課税内容によって変わります。

そのため、「必ず固定資産税全体が6倍になる」とは言い切れません。正確には、住宅用地特例が外れることで、土地の固定資産税負担が大きく増える可能性があるというのが実態です。

指定されたらすぐ6倍になるわけではない

特定空き家や管理不全空き家について、最初からいきなり住宅用地特例が外れるわけではありません。自治体は、空き家の状態を確認したうえで、必要に応じて所有者に対応を求めます。

流れとしては、次のように考えるとわかりやすいです。

STEP1 自治体による現地確認

自治体が現地調査などを行い、空き家の管理状態や周辺への影響を確認します。
この段階では、建物の傷み具合、敷地の管理状況、近隣への影響などが見られます。

STEP2 助言・指導

管理状態に問題があると判断された場合、自治体から助言や指導が行われることがあります。この段階で、草木の剪定、破損箇所の補修、残置物の整理、防犯対策などを行い、改善状況を自治体に確認してもらうことが重要です。

STEP3 勧告

助言や指導を受けても改善されない場合、自治体から「勧告」が出されることがあります。この勧告を受けると、住宅用地特例の対象から外れる可能性があります。
その結果、翌年度以降の固定資産税や都市計画税の負担が増える場合があります。

STEP4 命令

特定空き家について、勧告を受けても必要な対応がされない場合には、自治体から命令が出されることがあります。命令に従わない場合は、50万円以下の過料の対象となることがあります。

STEP5 行政代執行

さらに対応がされない場合、自治体が所有者に代わって必要な措置を行い、その費用を所有者に請求することがあります。たとえば、危険な建物の除却などが対象になる場合があります。

ここまで進む前に、自治体から通知が届いた段階で内容を確認し、早めに対応することが大切です。

うちの空き家は大丈夫?確認しておきたいポイント

すべての空き家が特定空き家や管理不全空き家になるわけではありません。
ただし、次のような状態がある場合は、早めに確認した方がよいでしょう。

・外壁や屋根の一部が剥がれている
・建物が傾いているように見える
・庭木や雑草が道路や隣地にはみ出している
・窓ガラスが割れたままになっている
・雨漏りや建物内部の傷みを放置している
・敷地内にごみや残置物があり、外から見える状態になっている
・近隣から苦情や連絡が来ている

特に、相続した実家が遠方にある場合は、状態の変化に気づきにくくなります。
「最後に見に行ったのが数年前」という場合は、税金の問題だけでなく、防犯・防災・近隣対応の面からも、一度現地の状態を確認しておくと安心です。

指定や勧告を防ぐためにできること

空き家の問題は、傷みが進んでから対応しようとすると、修繕費や片付け費用、家族間の調整が大きくなりやすいものです。早めに状態を把握しておくことで、売却、管理、活用、解体などの選択肢を比較しやすくなります。

定期的に清掃・点検を行う

まずは、定期的に現地を確認することが基本です。
庭木や雑草の管理、郵便物の確認、建物の破損箇所の有無、雨漏りや換気の状況などを見ておきましょう。

遠方に住んでいて自分で通うことが難しい場合は、親族に協力をお願いするほか、空き家管理サービスを利用する方法もあります。

修繕が必要な箇所を放置しない

屋根、外壁、窓、門扉、塀などに傷みがある場合は、放置せずに対応を検討しましょう。特に、道路や隣地に落下物が出るおそれがある場合は、早めの対応が必要です。
小さな補修で済む段階で対応できれば、結果的に負担を抑えられることもあります。

売却・賃貸・解体などの方向性を考える

今後も使う予定がない空き家については、管理を続けるだけでなく、売却や賃貸、解体などの選択肢も検討する必要があります。ただし、解体すると住宅用地特例の対象から外れる可能性があるため、固定資産税への影響も含めて確認してから進めることが大切です。

相続登記が済んでいない場合や、相続人が複数いる場合は、売却や解体の前に名義や権利関係の整理が必要になることもあります。

自治体や専門家に確認すべきこと

空き家の状態が気になる場合は、まず自治体から通知が届いていないか確認しましょう。すでに助言・指導・勧告に関する書類が届いている場合は、放置せず、期限や求められている対応内容を確認する必要があります。

あわせて、次の点を整理しておくと相談が進めやすくなります。

・空き家の所在地
・現在の所有者名義
・相続登記が済んでいるか
・建物の築年数や状態
・固定資産税の納税通知書の内容
・近隣から苦情や連絡が来ているか
・今後、売る・残す・貸す・解体するなどの希望があるか

税金の扱いは自治体の課税内容によって確認が必要です。
相続登記や権利関係は司法書士、税金の判断は税理士、相続人間の争いがある場合は弁護士など、内容に応じて専門家に確認することになります。

ふたば相続・空き家相談センターで相談できること

ふたば相続・空き家相談センターでは、相続した実家や空き家について、売却・管理・活用・片付け・専門家との連携を含めてご相談いただけます。

「特定空き家になるかもしれない」
「固定資産税が上がると聞いて不安」
「相続登記がまだ終わっていない」
「売るべきか、残すべきか決められない」

このような段階でもご相談いただけます。

空き家の問題は、建物の状態、税金、名義、家族間の話し合いが重なっていることが少なくありません。まずは現在の状況を整理し、どの順番で確認すればよいかを一緒に考えることが大切です。

必要に応じて、司法書士、税理士、弁護士などの専門家と連携しながら進めることもできます。

まとめ

特定空き家や管理不全空き家について、「指定されたらすぐ固定資産税が6倍になる」と考えると、少し正確ではありません。

重要なのは、自治体から空家法に基づく「勧告」を受けると、住宅用地特例の対象から外れる可能性があるという点です。

住宅用地特例が外れると、土地の固定資産税や都市計画税の負担が増える場合があります。特に小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準額が6分の1に軽減されているため、特例が外れたときの影響が大きくなります。

空き家を相続したまま使っていない場合は、建物や敷地の状態、名義、固定資産税の内容を早めに確認しておきましょう。売るか、残すか、貸すか、解体するかが決まっていない段階でも、状況を整理することで選択肢が見えやすくなります。

空き家や相続不動産のことで迷っている方は、一人で抱え込まず、まずは現在の状況をお聞かせください。
ふたば相続・空き家相談センターでは、無料相談を受け付けています。

※本記事は2026年5月時点で確認できる公的情報等をもとに作成しています。制度や税金の扱いは、法改正や自治体の判断、個別事情によって変わる場合があります。最新の内容は、固定資産税を課税する自治体や、司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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