「実家が空き家になったけど、どうすればいいの?」
「遠方に住んでいるから、なかなか見に行けない…」
「管理費用がかかるばかりで、この先どうなるんだろう?」
大切なご実家が空き家になり、こんなお悩みや不安を抱えている方は少なくありません。
特に、相続したばかりの空き家は、そのまま放置してしまうと、思わぬ「負動産」になってしまう危険性があることをご存じでしょうか?
今回は、空き家になった相続不動産を「負動産」にしないために、あなたがいますぐ始めるべき3つのステップを分かりやすくお伝えします。
ステップ1:まずは「現状把握」から!放置はトラブルの元
「何から手をつけていいか分からない」という方も多いと思いますが、最初の一歩は「現状把握」です。
空き家を放置することは、想像以上に多くのリスクを伴います。
老朽化の進行
風雨にさらされ、劣化が加速します。建物の倒壊リスクや、屋根や外壁からの雨漏り、シロアリ被害なども起こりやすくなります。
景観の悪化・治安の悪化
ゴミの不法投棄や不審者の侵入など、地域の治安や景観を損ねる原因になることも。近隣住民とのトラブルに発展する可能性もあります。
特定空き家指定のリスク
適切に管理されていないと自治体から「特定空き家」に指定され、固定資産税の優遇措置が受けられなくなるだけでなく、罰則が科せられる可能性も出てきます。(2025年6月時点でも「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、特定空き家に関する措置が講じられます。)
費用負担の継続
住んでいなくても、固定資産税や都市計画税、火災保険料などはかかり続けます。水道や電気の基本料金も発生することがあります。
空き家になってからこれらのリスクを避けるためにも、まずは以下の点を確認しましょう。
現状把握のチェックリスト
建物の状態
雨漏り、ひび割れ、シロアリ被害の有無、設備の状態
敷地の状態
雑草の繁茂、庭木の倒木リスク、不法投棄の有無
近隣環境
近隣住民との関係、道路状況
権利関係
登記名義人(単独名義か共有名義か)、抵当権などの有無
費用
固定資産税の納付状況、光熱費・保険料などの未払い有無
遠方でご自身での確認が難しい場合は、近隣の不動産業者や、空き家管理サービスを提供している業者に依頼して、一度見てもらうことを検討しましょう。
ステップ2:空き家をどうしたい?「出口戦略」を考える
現状を把握したら、次に大切なのは「この空き家をどうしたいのか?」という出口戦略を考えることです。選択肢は大きく分けて3つあります。
選択肢1:売却する
メリット
不動産を現金化できる、維持管理の負担がなくなる。
デメリット
売却までに時間がかかる場合がある、市場価格によっては希望通りの価格にならない可能性も。
ポイント
・ 相続税の特例
相続した空き家を売却する場合、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除」が適用される可能性があります。これは、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。(2025年6月時点でも適用される特例です。ただし、適用には期限や細かい要件がありますので、税理士にご確認ください。)
・不動産業者への相談
複数の不動産業者に査定を依頼し、信頼できる業者を見つけましょう。
選択肢2:活用する(賃貸・リフォームして居住)
メリット
家賃収入が得られる、家族が住む場所として活用できる。
デメリット
リフォーム費用がかかる、賃貸経営の手間がかかる、入居者が見つからないリスクも。
ポイント
・リフォームの検討
築年数が経っている場合、賃貸や居住用にするには大規模なリフォームが必要なこともあります。費用対効果を慎重に検討しましょう。
・賃貸の場合
管理会社に依頼することも視野に入れ、賃貸市場の需要を調査することが重要です。
選択肢3:寄付・国庫帰属など手放す
メリット
管理の負担から完全に解放される。
デメリット
対価が得られない、寄付先が見つかりにくい、国庫帰属には非常に厳しい要件がある。
ポイント
・自治体への寄付
活用が難しい空き家の場合、自治体への寄付を検討できるケースもありますが、受け入れは限定的です。
・相続土地国庫帰属制度
2023年4月に始まった新しい制度で、相続した土地を国に引き取ってもらうことができる制度です。ただし、建物がある場合は建物を解体して更地にする必要があるなど、要件が非常に厳しく、引き取りが認められるケースは限られます。費用もかかります。(2025年6月時点でも本制度は運用されています。)
この段階で、ご家族との話し合いも非常に重要です。将来的な方向性を共有し、合意形成を図りましょう。
ステップ3:専門家と連携!具体的な「実行計画」を立てる
方向性が決まったら、いよいよ具体的な「実行計画」を立て、専門家と連携して進めていきます。
1.空き家管理の体制を整える
売却や活用が決まるまで、空き家を適切に管理しておくことが重要です。
定期的な換気・通水
建物内の湿気を防ぎ、カビの発生や水道管の錆びつきを防ぎます。
清掃・点検
敷地内の清掃、庭木の剪定、雨どいの点検などを行います。
専門業者への依頼
遠方に住んでいるなど、ご自身での管理が難しい場合は、空き家管理サービスを提供している専門業者に依頼することを検討しましょう。
2.専門家への相談
出口戦略によって、相談すべき専門家は異なります。
売却を検討している場合
不動産会社、税理士(譲渡所得税、特例適用について)
活用(賃貸)を検討している場合
不動産会社(賃貸仲介、管理)、リフォーム会社、税理士(不動産所得)
寄付・国庫帰属を検討している場合
弁護士、司法書士(手続きについて)、自治体(寄付)、法務局(国庫帰属)
これらの専門家と連携することで、手続きをスムーズに進め、思わぬトラブルや税金で損をしてしまうリスクを減らすことができます。
3.費用と時間の計画を立てる
どの選択肢を選ぶにしても、費用と時間がかかります。
費用の見積もり
管理費用、解体費用、リフォーム費用、税金、売却時の手数料などを把握しましょう。
スケジュールの設定
いつまでに何を終わらせるのか、具体的なスケジュールを立てて行動に移すことが重要です。
放置するほど損をする!今すぐ行動を起こしましょう
空き家は、放置すればするほど価値が下がり、維持費用がかさんでいきます。そして、ご自身だけでなく、ご近所の方々にも迷惑をかけてしまう可能性も出てきます。
大切なご実家を「負動産」にしないためにも、ぜひこの3つのステップを参考に、いますぐ行動を始めてみてください。
当相談センターでは、空き家に関するお悩みを無料で受け付けております。専門家と連携し、皆様の状況に合わせた最適な解決策をご提案させていただきます。
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そんな時こそ、私たちにご連絡ください。
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【注記】
本記事の内容は2025年6月時点の法令に基づいて執筆されていますが、法改正等により内容が変更される可能性があります。また、個別のケースについては専門家にご相談ください。