相続した空き家は貸せる?賃貸に出す前に知っておきたい注意点

お役立ちコラム

こんにちは。
ふたば相続・空き家相談センターの相談員のしのです。

相続した実家について、
「すぐに売るのは気が進まない」
「でも、空き家のまま置いておくのも心配」
「それなら、誰かに貸せないだろうか」
と考える方は少なくありません。

家賃収入が入れば、固定資産税や管理費の負担を軽くできるかもしれません。人が住むことで、建物の傷みを抑えられることもあります。ただ、空き家を貸すことには、良い面ばかりではありません。

修繕費が思ったよりかかることもありますし、借り手がすぐに見つかるとは限りません。さらに、相続した実家を将来売るつもりがある場合、賃貸に出したことで税金の特例が使えなくなることもあります。

この記事では、相続した空き家を賃貸に出す前に知っておきたいメリット・デメリットと、売却時の税控除への影響をわかりやすく整理します。

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この記事でわかること

この記事では、空き家を貸す前に確認しておきたいポイントを整理します。

・空き家を賃貸に出すメリット
・貸す前にかかる費用や管理の負担
・リフォームなしで貸せるかどうか
・定期借家契約を使うときの注意点
・将来売る場合の3,000万円特別控除への影響

相続した空き家を「貸すか、売るか」で迷っている方は、先に税金や契約の注意点まで確認しておくことが大切です。

空き家を賃貸に出すと家賃収入を得られる

空き家を賃貸に出す一番のメリットは、家賃収入を得られることです。
空き家を持っているだけでも、固定資産税、火災保険料、草木の手入れ、建物の管理費などがかかります。貸すことで毎月の家賃が入れば、こうした維持費の一部をまかなえることがあります。

また、売却と違って、土地や建物を手放さずに済む点もメリットです。

「今すぐ売る決心はつかない」
「将来、家族が使うかもしれない」
「親から受け継いだ家なので、もう少し残しておきたい」

このような場合、賃貸は所有を続けながら活用する方法の一つになります。
ただし、家賃収入が入るからといって、必ず利益が出るとは限りません。修繕費や管理費、空室期間も含めて考える必要があります。

人が住むことで建物の傷みを抑えやすくなる

空き家は、人が住んでいる家に比べて傷みが進みやすいといわれます。
窓を開ける機会が少ないと湿気がこもりやすくなります。水道を使わない期間が長くなると、排水まわりのにおいや不具合が出ることもあります。庭木や雑草が伸びたままになり、近隣から心配されるケースもあります。

誰かが住んでいれば、日常的に換気や通水が行われます。不具合にも早く気づきやすくなります。もちろん、貸せば必ず建物が良い状態で保てるという意味ではありません。それでも、完全な空き家のまま放置するより、管理の目が入りやすくなる点は賃貸のメリットです。

ただし、貸す前に修繕費がかかることがある

空き家を貸すときに、最初に壁になるのが修繕費です。
相続した実家の場合、長く人が住んでいなかったり、設備が古くなっていたりすることがあります。貸し出す前に、給湯器、水回り、床、壁、雨漏り、電気設備などを確認しなければなりません。

特に、入居者が生活するうえで支障がある部分は、そのまま貸すのが難しいことがあります。たとえば、次のような状態です。

・雨漏りしている
・給湯器が使えない
・トイレや浴室に大きな不具合がある
・床が沈む、階段が傷んでいる
・電気やガス、水道の使用に不安がある

見た目をきれいにするリフォームまではしなくても、安心して住める状態に整える必要があります。「貸せば家賃が入る」と考えていても、最初の修繕費が大きくなると、回収までに時間がかかります。賃貸に出す前に、いくらかければ貸せる状態になるのかを確認しておきましょう。

借り手が見つからない空室リスクもある

賃貸に出しても、すぐに借り手が見つかるとは限りません。
駅やバス停に近い、生活施設がそろっている、戸建て賃貸の需要がある地域であれば、借り手が見つかりやすいこともあります。

一方で、交通の便が悪い地域や、周辺に借りたい人が少ない地域では、募集してもなかなか決まらないことがあります。空室の間は、家賃収入が入りません。それでも固定資産税や火災保険料、庭の管理費などはかかります。管理会社に依頼する場合は、その費用も見ておく必要があります。

空き家を貸すかどうかは、「貸せる状態か」だけでなく、「その地域で借り手が見込めるか」まで確認して判断することが大切です。

リフォームなしで貸せるケースもある

「リフォームにお金をかけずに貸せないか」と考える方もいます。
物件の状態や借り手の希望によっては、リフォームなし、または最低限の修繕だけで貸せることもあります。

たとえば、家賃を抑えた戸建て賃貸として貸すケースや、借主が自分で手を入れたいDIY向け物件として貸すケースです。住居ではなく、倉庫や作業場として使いたいという需要がある地域もあります。

ただし、「リフォームなしで貸せる」と「何も直さなくてよい」は違います。
雨漏りがある、設備が使えない、建物に危険な傷みがあるといった状態では、後々トラブルになりやすくなります。

また、借主が修繕する形にする場合でも、どこまでを貸主が負担し、どこからを借主が負担するのかを契約書で明確にする必要があります。口約束で進めると、退去時や故障時に揉めやすくなります。不動産会社に相談しながら、契約内容をきちんと整理しておきましょう。

リフォーム費用は経費にできる?

賃貸に出すために行った修繕やリフォーム費用は、不動産所得の計算で経費として扱える場合があります。ただし、すべての工事費をその年にまとめて経費にできるとは限りません。

通常の維持管理や修理のための支出は修繕費として必要経費になりますが、建物の価値を高めたり、使用できる期間を延ばしたりする支出は、資本的支出として扱われることがあります。その場合は、減価償却によって各年分の必要経費に算入します。

たとえば、壊れた設備を元の状態に戻す工事と、建物全体の価値を高める大きな改装では、税務上の扱いが変わることがあります。工事の内容や金額によって判断が分かれるため、リフォーム前に税理士へ確認しておくと安心です。

将来使う予定があるなら定期借家契約も選択肢

「今は貸したいけれど、数年後には自分や家族が使うかもしれない」
このような場合は、定期借家契約を検討する方法があります。

定期借家契約は、契約期間が満了すると、更新されずに賃貸借契約が終了する仕組みです。普通借家契約の場合、貸主側の都合だけで契約を終わらせることは簡単ではありません。将来使う予定があるなら、最初の契約の段階で、普通借家にするのか、定期借家にするのかを慎重に決める必要があります。

ただし、定期借家契約には手続き上の注意があります。借地借家法では、定期建物賃貸借について、契約の方法や更新がないことの説明などが定められています。期間が1年以上の場合には、期間満了前の通知が関係する場合もあります。

契約の進め方を誤ると、思っていた形で契約を終了できないおそれがあります。定期借家契約を使う場合は、不動産会社や専門家に確認しながら進めましょう。

後で売るなら3,000万円特別控除への影響に注意

相続した空き家を貸すかどうか考える際、特に注意したいのが売却時の税控除です。

相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たすと「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除」を使えることがあります。いわゆる、相続空き家の3,000万円特別控除です。

この制度は、要件に当てはまる場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる制度です(平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却し、一定の要件を満たす場合)。

ただし、この特例には大事な条件があります。
相続の時から売却までの間に、事業用・貸付用・居住用として使われていないことが要件とされています。つまり、相続した空き家を一度賃貸に出すと、この特例が使えなくなる可能性があります。

また、令和6年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋や敷地を取得した相続人が3人以上いる場合は、控除額が1人あたり2,000万円までとなる場合があります。

数年だけ貸して、その後に売ろうと考えている場合、この税控除の影響は見落とせません。「家賃収入を得るメリット」と「売却時に特例を使えなくなる可能性」を比べたうえで判断する必要があります。

賃貸に向いている空き家・慎重に考えたい空き家

空き家を賃貸に出すかどうかは、物件ごとに判断が変わります。

賃貸に向いているのは、次のような空き家です。

・駅やバス停、生活施設に近く、借り手が見込める
・建物の状態が比較的よく、修繕費を抑えやすい
・将来、自分や家族が使う可能性がある
・すぐに売却する必要がない
・3,000万円特別控除の対象外である可能性が高い

反対に、慎重に考えたいのは次のような空き家です。

・交通の便が悪く、賃貸需要が見込みにくい
・老朽化が進み、修繕費が大きくなりそう
・遠方にあり、管理や入居者対応が難しい
・相続人同士で方針が決まっていない
・売却すれば3,000万円特別控除を使える可能性がある

特に、将来売る可能性がある空き家は、賃貸に出す前に税務上の影響を確認しておくことが大切です。

貸す前に確認しておきたいこと

空き家を貸す前には、家賃だけでなく、費用や将来の方針まで整理しておきましょう。確認しておきたいのは、次のような点です。

・建物の状態
・修繕やリフォームにかかる費用
・周辺の賃貸需要と想定家賃
・管理会社に依頼するかどうか
・普通借家契約にするか、定期借家契約にするか
・将来売却する可能性
・3,000万円特別控除への影響
・相続人全員の方針

空き家を貸すことは、うまくいけば有効な活用方法になります。
ただし、最初の修繕費を何年で回収できるのか、空室になった場合に負担できるのか、将来売るときに不利にならないかまで見ておく必要があります。

まとめ|空き家を貸す前に、売却時の税金まで確認しましょう

相続した空き家を賃貸に出すと、家を手放さずに家賃収入を得られる可能性があります。人が住むことで、建物の傷みを抑えやすくなることもあります。

一方で、修繕費、空室リスク、管理の手間、入居者対応などの負担もあります。リフォームなしで貸せる場合でも、安全に使える状態か、契約内容に問題がないかは確認が必要です。

また、相続した実家を将来売却する予定がある場合は、3,000万円特別控除への影響に注意しなければなりません。相続後に賃貸に出すと、この特例を使えなくなる可能性があります。

空き家を貸すか、売るか、残すかは、物件の状態、地域の需要、修繕費、税金、相続人の考え方によって変わります。

ふたば相続・空き家相談センターでは、相続した空き家について、賃貸・売却・管理のどれが合っているか、状況を整理しながらご相談いただけます。まだ方針が決まっていない段階でも問題ありません。

空き家や相続不動産のことで迷っている方は、一人で抱え込まず、まずは現在の状況をお聞かせください。

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